西区 不動産のこんな利用法
同じくらいのグレードのキッチンのなかから、A、B、Cの三社を選び、各メーカーからお客様が選んだキッチンの仕様書が送られてきます。
同時に各社から見積書が出てきますから、お客様と一緒に価格も含め検討します。
高すぎるようであれば、私たちがメーカーや商社と値引き交渉します。
「もう少しキッチンのグレードを上げよう」とか、「食器洗い機をつけよう」など、すべてお客様の意思で自由に決定することができます。
これは、一見当たり前のことのように思えますが、ふつうメーカーや工務店は、「隠れた利益率」ゆえに、お客様の自由決定を喜ばず、何とか自社の都合がいい路線へ誘導しょうとするのです。
けれど、「原価をつくる」方式なら、すべて自由に決めることができます。
キッチンの取りつけ費という手間賃も、ちゃんと分離しています。
基本的にどのキッチンをつけてもキッチンはキッチンですから、手間賃にさほど差はありません。
手間賃も、原価として公開します。
キッチンに限らず、すべてにおいて原価です。
そしてひとつひとつ積み重ねて、全部の家の原価が完成します。
各建材メーカーには厳しい言い方かもしれませんが、今までメーカーはあまり「お客様の目線」でものを考えてきませんでした。
なぜならメーカーは直販しないからです。
実際のメーカーの売上に貢献するのは工務店であり、問屋、販売店ですから、長年メーカーは、問屋や販売店や工務店だけを重視してきたのです。
ここも、ピラミッド構造を逆さまにしなければいけないと感じます。
言い換えればメーカーは、お客様が何を好み、何を望んでいるのかを真剣に考えてきていなかったのです。
本来、それなくして良い商品開発などできるはずがありません。
私たちのお客様には、メーカーのショールームを訪れたときの担当者の態度に腹を立て、さっとメーカー変更を指示された方もいます。
いったいメーカーはどちらを向いているのか、お客様はとても敏感です。
何千万円もかけて家をつくるのですから、当然のことといえるでしょう。
私は正しい選択肢をお客様にもっていただくことが、本当の自由競争の始まりであると思います。
そのことはお客様満足を第一とするだけでなく、長い目で見て、メーカーにも、われわれ建設会社や工務店にも、良い方向に働くはずです。
原価、経費の完全分社がなぜ今までできなかったのかといえば、じつはここに触れることは、長い間業界でタブーとされてきたからです。
業界の歴史のなかで培われてきた既成概念、既得権益という得体の知れないものからの脱却は、中のぬるま湯につかっていては難しいのが実情です。
もっと簡単にいえば、今までずっとお客様に不明朗な説明しかしてこなかったのに、今さら「じつは、あの中身はこうでした」とはいえないのです。
きつい言葉になりますが、「嘘もバレなければ真実なり」という頬かむりです。
あるいは、ちょっと青臭くいえば、「正義と勇気」がないからだと思います。
顔を上げて、「私たちの利益はいくらです」といえないから、隠してきたのではないかと思います。
私は嘘はつかないことが信条ですので、自信をもって正直に公開しています。
私にとって利益というのは、私たちが会社を運営していくためにいただくべき、適切な仕事の対価です。
正直に真実をお見せして、理解していただけなかったら仕方ないと思うしかありません。
ここに最大の壁があり、最大の雉しさがあります。
なぜなら利益という概念が、ハウスメーカーから地域の工務店に至るまで、すべての企業で異なるからです。
中小の工務店の場合、「食べていければいいや」という考え方の会社や経営者もけっこう存在します。
ハウスメーカーの場合、テレビCMやパンフレット、展示場などの維持管理費、従業員の人件費まで、膨大な運営費のすべてを利益でまかなわなければいけません。
しかも上場している会社であれば、株主に配当もしなければなりません。
決算で赤字を出すと、信用不安から受注が激減してしまいます。
それが原田で倒産したハウスメーカーもあるほどです。
一般的にハウスメーカーの利益率は、建築費の三割から四割くらいといわれています。
それが正しいとか正しくないとかの問題ではありません。
大きい看板と高い信用力を誇るハウスメーカーの場合、それくらいの利益を必要としている、ということです。
小さい会社には、小さい会社なりの利益率があります。
努力して利益率を下げている会社もあれば、放漫経営で中身はないのに利益率が高い会社もあります。
そもそも、違いがあることを明確にして、「うちの利益率はいくら」と明確に打ち出さなければ、消費者は比較のしょうがないのです。
建築は労働集約型産業であり、建築士、施工管理技士、インテリアコーディネーター、積算行務、営業などの多くの人間が集まって一つの家をつくると申し上げました。
会社には表立ったスタッフ以外に、経理、財務、人事、広報などの人間も必要になってきます。
そうした会社の実情に照らして熟慮を重ねた結果、私は、私なりの「マニフェスト住宅基準価格表」を作成しました。
自分の会社の利益というものを、とことん見つめて贅肉をそぎ落としていった結果、私は「T建設が掲示しうる建築費はほかの工務店と比較して遜色ない」「それどころか、どこよりも安い」という自信がつきました。
企業、会社というのは、事業規模、社員の数も含めて、バランスが一番大事だと思います。
特に建設業は会社の規模が大きすぎてもダメですし、小さすぎるのもうまくいきません。
会社が大きいと無理、無駄、ムラが横行します。
だから大企業は今、必死になってリストラを進めているのです。
逆に会社が小さすぎると、金融機関も含めてなかなか社会的信用を得ることができません。
それでも小さい会社は社員が少ないから、利益率を下げることは大会社より容易です。
しかしながら一つの住宅をつくりあげるのに、職種は約五〇、部材、部品は二万点以上、延べ二〇〇人を超す職人たちが必要です。
それをわずかなスタッフが管理していくとき、不測、不慮の事態が生じてしまった場合、少人数だと対応に限界があると思います(事実、私が会社を始めた当初はそうでした)。
やはりある程度の人間は必要ですし、組織力も会社にとっては重要なポイントです。
私の会社には、現在三〇人ほどスタッフがいます。
無駄な人間は一人もおらず、各人が自分の守備範囲を堅守しています。
T建設はスタッフも含めて、大きくもなく、小さすぎない、とてもバランスのとれた会社だと思っています。
また、私の会社に不良債権と呼ばれるような負の財産はありません。
投資や財テクといったこともしていません。
だから利益に関しても、他社よりも抑えられるのです。
利益率は、企業理念として低く設定しており、一般的な建設業者の利益率としては限界だと思います。
扱い額が増えても、利益率は一定?私はマニフェスト作成中に一つの疑問にぶつかりました。
従来の考え方を利益率で示せば、あるハウスメーカーが「当社は三〇%」と決定していたら、請負金額(売上)が上がっても下がっても、ずっと三〇%を確保します。
粗利益を見ると、まるで倍々ゲームのようです。
しかし、二〇〇〇万円の家と五〇〇〇万円の家を比べたとき、建設会社の仕事に、はたして大きな違いがあるのでしょうか。
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